コミュニティデザインの時代 山崎亮


コミュニティデザインの時代という本を読んだのでその備忘録を残します。

・大阪天王寺にできる近鉄百貨店の新しい本店は、日本一の床面積を誇るデパートになる。広大な床面積の各所に「自由に使える空間」を準備するとのこと。完成したら見に行こうと思う。

2013年 夏 あべのハルカス近鉄本店タワー館先行オープン!.

・日本の適正人口は3500万人位かもしれない。日本が鎖国しており、海外から物資の輸入がなく、自給自足で暮らしていた時代の人口はそんなものだった。有機農法で土の回復力だけを頼りに作物を育て、国内の樹木を使ったバイオマスエネルギーだけで生活できる人口はどのくらいだろうか。

・人口が増えなければ利益が出ない、地域経済が成長しなければ豊かになれない、という発想ではなく、地域の適正人口規模を見据え、目標とする人口規模になったときに地域でどう暮らしていくのかを考え、それを実践することが大事。

・行政がやるものだと思っていたことを住民が強力してやるようになると、住民同士の関係性が変わるようになる。極と店員、住民と行政というように、はっきりと二つに分かれた立場になってしまっていた関係性をコミュニティの存在が少しずらすことになる。このあたりから状況を変えることができるのではないか。

・公共的な事業に対する住民の参加方法はかなり行われるようになってきているが、行政がうまく参加できていない。そもそも「参加する」という意識がない。だからこれまでどおり、業者に仕事を発注するかのごとく、住民のボランティアに仕事を「発注」する。コミュニティデザインを進める上で、行政職員の意識を少しずつ変えていくことも大切な要素である。

・僕らはもう一度、「経済」や「豊かさ」がどんな要素から成り立っているのか、じっくり考えてみたほうがいい時期にさしかかっている。人とのつながりや、人からの感謝や、自分の役割が増えることや、自分にできることが増えることの価値。こうしたものと金や物を持っていることとが組み合わさって、僕たちの豊かさは成立しているはずである。そしてまちの豊かさも同じような要素で成立しているはずなのである。

・「はたらく」という言葉は。「はた」にいる人を「らく」にする行為をさすという。悔いなく「はたらく」ために、「はた」にいる人がどんなことに困っているのかを調べ、どうすればそれを「らく」にすることができるのかを考え続けたい。

・「泥石鹸をつくるワークショップ」「海辺に流れ着いた漂着ごみでアート作品をつくるワークショップ」これらのプログラムが秀逸なのは、参加費をもらいながら公園の自然回復に寄与しているということ。泥石鹸づくりは園内の湿地帯の泥掃除をしていると考えることもできるのだ。

・集落で暮らすために必要なことは何か。「挨拶」と「草刈」。とにかく「挨拶」は大事。どんなに遠くにいても挨拶しておかないと「あいつは挨拶ひとつできないやつ」といわれてしまう。しっかり挨拶できる人にはいろんなものが家に届く。草刈の日には、みんなが集まる一時間前から出て行って先に草刈をしておくこと。これさえできれば「いい人」という評価になる。家に届くものが変わってくる。「できたもの」が届くようになると集落に受け入れられたと考えてよい。

・日常の買いまわり品のなかでも、高齢者が買いにくいのがトイレットペーパー。持って帰りにくい。ネットで注文したいものになる。クロネコヤマトは、宅急便事業のほかに商品の販売事業も行っている。「特選市場」と呼ばれる販売事業で扱われているのはトイレットペーパーとミネラルウォーター。持ち運びしにくいものだけを扱っている。当然、注文は高齢者向けに電話で受け付けている。

・大丸百貨店の通信販売は、季節ごとにカタログが送られてきて注文がない月には大丸百貨店から電話がかかってくる。この電話が安否確認をかねているようなものである。

・偶然を計画的に起こす。「プランド・ハプンスタンス理論」その考え方は、「好奇心」「持続性」「柔軟性」「楽観性」「冒険心」の5つに大別される。

・既に訪れている大住民参加時代の行政は、これまでのように首をすくめて失敗しないように淡々と業務を遂行するだけではなく、新たなことに挑戦して成功した職員を評価する仕組みにすべきである。そうでなければ行政の仕事が立ち行かなくなる時代である。さらに進んで、新たなことに挑戦したら、失敗しても評価されるような仕組みになれば、熱い行政職員はさらにたくさん出現するはずである。

目次

第一章 なぜいま「コミュニティ」なのか

1.自由と安心のバランス

2.まちが寂しくなった理由

3.「昔はよかった」のか

4.人口減少先進地に学ぶ

5.ハード整備偏重時代の終焉

6.まちに関わること

7.パブリックとコミュニティ

第二章 つながりのデザイン

1.宣言について

2.まちの豊かさとは何か

3.コミュニティとデザインについて

4.肩書きについて

5.ブライアン・オニールという人

6.変化するコミュニティデザイン

第三章 人が変わる、地域が変わる

1.人が育つ

2.コミュニティ活動に参加する意義

3.チームについて

4.中山間離島地域に学ぶ

5.集落診断士と復興支援員

第4章 コミュニティデザインの方法

1.コミュニティデザインの進め方

2.ファシリテーションと事例について

3.地域との接し方

4.雰囲気について

5.資質について

6.教育について

7.行政職員との付き合い方

8.コミュニティの自走

 

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